環世界たちの調べ

◎環世界は完全に分たれているのではない。ヤーコブ・フォン・ユクスキュルの『生物から見た世界』を見ると、生物はみな自己世界に暮らす孤独な生き物と見られがちであるがはたしてそうか。環世界と環世界のあいだのぼやけが、分かれつつ合わさる按配を生んでいる。蓮のもつ環世界と丸花蜂のもつ環世界の境がぼやけていて、そこに想像力をはたらかせる(気配を受ける)ことができるからこそ、蓮は実を結び、丸花蜂はご馳走にありつくことができる。この微妙が棲み分けを生み、共在を生む。倅点(南方熊楠)の結ぼれは単に線で結ぶことのかなわないそんな結構を持っている。ユクスキュルはそんな按配を「対位法」とあらわした。われらはそんな百彩の庭に暮らしている。

◎環世界はそれぞれの環世界にとどまらず、結ばれ合う環世界としてそこに在る。いつも環世界たち(Umwelten / ウムヴェルテン )としてある。